私のことが必要ないなんて言わせません!【菱水シリーズ③】
お父さんが握手して、『握手しちゃったよ』『あっ!お父さん、抜け駆け?ずるいわねぇー!』と二人でひそひそと話していたけど、全部丸聞こえだった。
ううっ、やめてー!
梶井さん、きっと呆れてるよっ。
ちらりと横目で盗み見ると目があった。
向こうは私と両親を交互に見ていた。

「間違いなくお前の両親だな」

「ぐっ……!それはどういう意味?」

「そのまんまの意味だ」

笑ってたけど、私としては複雑な心境だった。
だって、私がまるで梶井さんと出会った時、浮わついていたみたいじゃない?
―――まあ、それは正しいけど。

「梶井さんが来るって言うから、張りきって作ったんですよ!さあさあ!」

ちゃっかりお母さんは腕を組んでいた。
ちょっとー!
私を差し置いてなぜ腕を組んでいるの?
そんなお母さんはリビングのほうにごちそうを用意してくれていた。。
鰻が入った夏らしいちらし寿司とからあげ、フライドポテト、フルーツポンチなどって誕生会みたいな料理の数々。
これでケーキがあったら―――

「食後にケーキ買ってあるぞ!」

お父さんが近所のケーキ屋さんの箱を見せた。
完全に子供のお誕生会だよ……
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