私のことが必要ないなんて言わせません!【菱水シリーズ③】
がっくりと肩を落とした。
私が思っていたより、雰囲気は明るくてよく食べてよく飲んだ。
お父さんなんかはもう私の赤ちゃんの時のアルバムをとりだし、梶井さんに語り始め、お母さんは梶井さんと一緒に写真にとってもらったり、サインまで。
我が親ながら、自由すぎるくらい自由だった。

「うちの娘、可愛いだろ!?」

「そうですね」

「梶井さんはどのケーキがお好き?」

「残ったケーキでいいですよ」

私も菜湖ちゃんもそっちのけで梶井さんとわいわいやっていた。
なんで?なんでなの?
微妙な顔をしていた私に梶井さんは気づいて、ぽすっと私の頭をなでた。

「娘がいなくなるんだから、寂しいに決まってるだろ?お前が悲しくならないようにわざと明るく振る舞ってるんだよ」

梶井さんはどうして私の親の気持ちがわかるんだろう。

「実は俺の活動拠点なんですが、今は主にドイツでして」

「うん、知っているよ」

「そうね」

「それで、望未さんも一緒に連れていきたいと思っています。今日は結婚することとそのお許しをいただきたく」

お父さんもお母さんも一瞬だけ静かになった。

「わかってたよ」
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