私のことが必要ないなんて言わせません!【菱水シリーズ③】
声がして顔をあげると、梶井さんがすでに起きて、笑いながらシャツの袖を直していた。

「起きてたなら言ってよ!」

「お前の声で目が覚めた。何がキスで起こすべき、だ。襲うなよ」

「それって最初から起きてたよね!?」

「さあな」

すぐにからかうんだから。

「腹が減っただろ?なにか食べに行くか?」

「うん!」

ベッドから起きて、梶井さんに抱きついた。

「おい。食事は?」

「クリスマスマーケットに行きたい」

「お前は子供か!誘っているんじゃなかったのか……」

「え?クリスマスマーケットに誘っているよ?」

「……そうだな」

梶井さんはやれやれとため息をついてコート掛けからコートをばさりと私に投げた。

「風邪をひかないようにしっかり厚着していけよ、望未」

「今、子ども扱いされたような気がする」

「気のせいだろ」

絶対、気のせいじゃないと思うんだけど。
頬を膨らませ、コートを着て、マフラーを首に巻いた。
外の冷たい空気が完全に眠気を吹き飛ばした。
夜のクリスマスマーケットはライトアップされ、たくさんの人がいた。
前に来た時と同じ、移動遊園地やクリスマス仕様のお店。
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