私のことが必要ないなんて言わせません!【菱水シリーズ③】
陶器の置物やキャンドルグラス。

「可愛い」

「買っていいぞ」

「いいの?」

「ああ。部屋にお前の好きな物を飾れよ」

「うん……」

きっとシンプルな部屋が好きな梶井さん。
それなのに一緒に飾る置物を見てくれていた。
天使と星のオーナメントを買った。

「ツリーないぞ」

「いいの!観葉植物に飾るから」

「……いいのか?」

梶井さんは首をかしげていた。
あの殺風景な部屋には緑が必要だと思うんだよね。
それにベランダがあるから、なにか育てたい。
小百里(さゆり)さんがしていたみたいに。
カフェ『音の葉』には私の代わりに菱水音大の男子学生が入った。
ピアノ教室もその菱水音大の後輩が引き継いだ。
私の出発前に関家(せきや)君はトロイメライを、小学生の女の子はキラキラ星を演奏してくれた。
私はここで語学学校に入学することになっている。
まずは言葉を覚えて、それから、またピアノ教室を始められたらいいなって思っていた。

「そういえば、カフェ『音の葉』のみんなが梶井さんによろしくって言ってたよ。あと、小百里さんが梶井さんにみんなが心配していることを忘れないでねって」

「ああ……」
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