私のことが必要ないなんて言わせません!【菱水シリーズ③】
「そうですか?」
「うん」
春の陽射しに似たほんわかした空気が流れた。
「あっ!すみません。オムライス、冷めてしまいますよね」
「’いや。あの、望未ちゃん。実は俺、君の―――」
カランッと乾いた音が響いた。
床にフォークを落とした音だ。
窓際の席のスーツを着た女の人が落としたようだった。
「失礼します」
達貴さんにぺこりとお辞儀をし、床に落ちたフォークを拾い、新しいフォークを持ってきて渡した。
「どうぞ」
「ありがとうございます。手が滑ってしまいました」
フォークを落としたのはグレーのスーツにメガネ、髪を後ろに結んだ女性―――見覚えがある。
「渡瀬さん!?」
渡瀬さんは電話中で私に静かにするように唇に指をあてた。
そして、私の腕をつかみ、自分のスマホに耳を近づかせた。
なんだろう?
内緒話?
渡瀬さんはスマホの音量をあげる。
スマホから声が聞こえた。
『おい、渡瀬。来月のスケジュール、キツくないか?日本での仕事とこっちの仕事の合間が短い。少しは休ませろよ』
「休みをあげるとロクなことをしないでしょう」
「うん」
春の陽射しに似たほんわかした空気が流れた。
「あっ!すみません。オムライス、冷めてしまいますよね」
「’いや。あの、望未ちゃん。実は俺、君の―――」
カランッと乾いた音が響いた。
床にフォークを落とした音だ。
窓際の席のスーツを着た女の人が落としたようだった。
「失礼します」
達貴さんにぺこりとお辞儀をし、床に落ちたフォークを拾い、新しいフォークを持ってきて渡した。
「どうぞ」
「ありがとうございます。手が滑ってしまいました」
フォークを落としたのはグレーのスーツにメガネ、髪を後ろに結んだ女性―――見覚えがある。
「渡瀬さん!?」
渡瀬さんは電話中で私に静かにするように唇に指をあてた。
そして、私の腕をつかみ、自分のスマホに耳を近づかせた。
なんだろう?
内緒話?
渡瀬さんはスマホの音量をあげる。
スマホから声が聞こえた。
『おい、渡瀬。来月のスケジュール、キツくないか?日本での仕事とこっちの仕事の合間が短い。少しは休ませろよ』
「休みをあげるとロクなことをしないでしょう」