私のことが必要ないなんて言わせません!【菱水シリーズ③】
『この過密スケジュールはわざとか!?社長と代われ!今、事務所だろ!?』
―――梶井さんだった。
渡瀬さんはうるさいですねと小声で言って舌打ちする。
音量をあげたせいなのか、スケジュールにケチをつけられたからなのか、わからないけど不快そうにしていた。
「梶井さん。私は今、カフェ『音の葉』にいるんです」
『そうか。あいつ、いるか?』
「あいつって誰ですか?」
『ウサギだよ』
「ウサギって誰ですか?」
『お前っ!わざと言ってるだろ?望未だよ。笠内望未!』
名前―――ちゃんと覚えていてくれたんだ。
それだけのことなのにすごく嬉しくて、顔がにやけてしまいそうになる。
渡瀬さんは真顔のままだった。
「ああ、笠内望未さんですか。さっきデートに誘われていましたよ。梶井さんとは正反対の善良そうなさわやかサラリーマンでした」
えっ?デート?いつ私が誘われていたっていうんだろう。
渡瀬さんは私の手にスマホを持たせると知らん顔でスケジュール帳をめくり出した。
どうして!?
渡瀬さんの意図することが理解できずにいた。
『ふーん。デートね。あいつが行きたいなら行けばいい。俺には関係ない』
―――梶井さんだった。
渡瀬さんはうるさいですねと小声で言って舌打ちする。
音量をあげたせいなのか、スケジュールにケチをつけられたからなのか、わからないけど不快そうにしていた。
「梶井さん。私は今、カフェ『音の葉』にいるんです」
『そうか。あいつ、いるか?』
「あいつって誰ですか?」
『ウサギだよ』
「ウサギって誰ですか?」
『お前っ!わざと言ってるだろ?望未だよ。笠内望未!』
名前―――ちゃんと覚えていてくれたんだ。
それだけのことなのにすごく嬉しくて、顔がにやけてしまいそうになる。
渡瀬さんは真顔のままだった。
「ああ、笠内望未さんですか。さっきデートに誘われていましたよ。梶井さんとは正反対の善良そうなさわやかサラリーマンでした」
えっ?デート?いつ私が誘われていたっていうんだろう。
渡瀬さんは私の手にスマホを持たせると知らん顔でスケジュール帳をめくり出した。
どうして!?
渡瀬さんの意図することが理解できずにいた。
『ふーん。デートね。あいつが行きたいなら行けばいい。俺には関係ない』