私のことが必要ないなんて言わせません!【菱水シリーズ③】
「うん。もちろん。望未ちゃんは俺にとって―――」
ゴツッと鈍い音がした。
私と達貴さんの間に足があった。
誰の?なんて顔を見なくてもわかる。
壁に靴底をあてて、ピリピリした空気を感じていた。
インタビューは終わったらしく、いるのはマネージャーの渡瀬さんだけ。
そして、関家君がこちらへこようとしたのを渡瀬さんが止めた。
「おい、望未。行くぞ」
「え?ど、どこへ」
達貴さんは驚き、梶井さんを見上げていた。
梶井さんの空気はまるで王様と同じ。
自信たっぷりで自分の敵など、すべて踏み潰して消してしまうような圧倒的存在感。
「望未ちゃんは仕事中だよ」
達貴さんの制止の言葉をふっと笑い飛ばし、梶井さんは足をあげて離れた。
「来い」
私を見る目。
そして、甘く誘うような香水。
遠ざかる背中を見て、私は追いかけていた。
持っているもの全て失ってもいいくらいに私は梶井さんを好きになっていた。
急に立ち止まられて、背中にドンッとぶつかると梶井さんが振り返って言った。
「コーヒーをふたつ」
悪い顔をして笑っている―――からかわれた。
ゴツッと鈍い音がした。
私と達貴さんの間に足があった。
誰の?なんて顔を見なくてもわかる。
壁に靴底をあてて、ピリピリした空気を感じていた。
インタビューは終わったらしく、いるのはマネージャーの渡瀬さんだけ。
そして、関家君がこちらへこようとしたのを渡瀬さんが止めた。
「おい、望未。行くぞ」
「え?ど、どこへ」
達貴さんは驚き、梶井さんを見上げていた。
梶井さんの空気はまるで王様と同じ。
自信たっぷりで自分の敵など、すべて踏み潰して消してしまうような圧倒的存在感。
「望未ちゃんは仕事中だよ」
達貴さんの制止の言葉をふっと笑い飛ばし、梶井さんは足をあげて離れた。
「来い」
私を見る目。
そして、甘く誘うような香水。
遠ざかる背中を見て、私は追いかけていた。
持っているもの全て失ってもいいくらいに私は梶井さんを好きになっていた。
急に立ち止まられて、背中にドンッとぶつかると梶井さんが振り返って言った。
「コーヒーをふたつ」
悪い顔をして笑っている―――からかわれた。