私のことが必要ないなんて言わせません!【菱水シリーズ③】
自分を贄のように差し出して。
でも、なんの罪が梶井さんにあるっていうんだろう。
母親の亡霊に囚われたまま、ずっと誰とも関わらず―――それでいいの?
梶井さんがお母さんに対して後ろめたく思うことってなに?
「反抗期でつっぱっていた自分、優しくできなくてごめん?」
「誰が反抗期だ!」
コーヒーが入ったカップをテーブルにどんっと置かれた。
「あ、コーヒー、ありがと」
えへへっと笑って誤魔化した。
「雨が止んだら帰れよ」
「まだ降ってる!」
「お前な……!」
梶井さんの部屋に入ったというだけで私は有頂天になっていた。
部屋の中に誰かの痕跡はなく、梶井さんだけが本当に暮らしているのだとわかる部屋。
シンプルな部屋はすっきりとしていて居心地がよかった。
白い湯気があがる温かいコーヒーを一口飲んだ。
「うっ……!に、苦い……」
コーヒーを一口飲むと砂糖もミルクも入ってなくて、舌がしびれる苦さだった。
「ああ、悪い。砂糖が切れてた。というより、今はほとんどドイツにいるから、ここの部屋に食料らしい食料はない」
口では悪いと言っているわりに悪い笑みを浮かべている。
でも、なんの罪が梶井さんにあるっていうんだろう。
母親の亡霊に囚われたまま、ずっと誰とも関わらず―――それでいいの?
梶井さんがお母さんに対して後ろめたく思うことってなに?
「反抗期でつっぱっていた自分、優しくできなくてごめん?」
「誰が反抗期だ!」
コーヒーが入ったカップをテーブルにどんっと置かれた。
「あ、コーヒー、ありがと」
えへへっと笑って誤魔化した。
「雨が止んだら帰れよ」
「まだ降ってる!」
「お前な……!」
梶井さんの部屋に入ったというだけで私は有頂天になっていた。
部屋の中に誰かの痕跡はなく、梶井さんだけが本当に暮らしているのだとわかる部屋。
シンプルな部屋はすっきりとしていて居心地がよかった。
白い湯気があがる温かいコーヒーを一口飲んだ。
「うっ……!に、苦い……」
コーヒーを一口飲むと砂糖もミルクも入ってなくて、舌がしびれる苦さだった。
「ああ、悪い。砂糖が切れてた。というより、今はほとんどドイツにいるから、ここの部屋に食料らしい食料はない」
口では悪いと言っているわりに悪い笑みを浮かべている。