ニガテな副担任はこの頃距離が近すぎる
 やっと迎えた週末金曜日。心の中で歓喜の雄叫びをあげながら残業終わりの体にビールを流し込んだ。

 自宅でのこのささやかな幸せが明日への活力になる……はず。今はもうとりあえず仕事のことは考えずに、ただダラダラしたい。

 普段は朝と夜のニュースくらいしかみないテレビをつけてみる。すると学園ドラマが画面に映し出された。

 お気に入りのソファに座ってついついドラマに夢中になる。

 これ、生徒が言っていた番組だ。

 人気漫画のドラマ化で、主演を人気アイドルグループの男性が務めている。

 画面の中の華々しい世界を見ながら、二本目のビールに手を出した。

「え~生徒から告白なんてあるはずないって、聞いたことないもん」

 思わず独り言が多くなってしまうのも、ひとり暮らしをはじめたころからの習慣のようなものだ。もちろん返事なんてない。

「ん?」

 ちょっとしたつっこみをいれつつドラマを見ていると、テーブルの上のスマートフォンが着信をつげているのに気が付いた。

 結芽乃(ゆめの)だ。

「もしもし」

《ひさしぶりだけど、元気なの?》

 電話の相手、堀(ほり)結芽乃は大学の同級生で、今は隣の市で、私と同じく高校教員をしいている。

 学生時代の友人たちは教師になった人も、ならなかった人もいるが、みんな忙しく前回みんなで集まったのは、その中のひとりの結婚式でのことだ。そんな忙しいなかでも結芽乃とは、頻繁に連絡をとって仲良くしている。

《なにしてた? 今電話大丈夫?》
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