ニガテな副担任はこの頃距離が近すぎる
「うん、ドラマ見てたの。結芽乃もテレビつけて。学園ものだから」

《え、ちょっと待って》

 電話口でがさごそと音がしている。結芽乃の「よいしょっ」と言う声が聞こえてきた。

 出るよね~掛け声……。

《あ~これか。電車の広告で見た、見た。ははは》

「なにが面白いの?」

《え。今どきこんな絵にかいたような体育教師いる?》

 どうやら今画面に映っている、肩で風を切って歩いているジャージ姿の体育教師を見ての感想みたいだ。

「そうだよね。私も思った。でもこういうのってデフォルメされているものだもんね」

《体育教師がガサツなイメージなのかな。それ困る。この間行った合コンで体育教師だって伝えた途端、強そうって言われたんだけど》

 結芽乃は私と違って運動神経ばっちりの体育教師だ。

「あ~完全に風評被害だよね」

 教師って今だに世間から、一定のイメージのようなものをもたれているような気がする。

《ほんと、ひどいんだから。これでまた結婚が遠のいた》

「あはは、職場では出会いなんてないもんね」

 とくに私は私立学校に勤めているので、教師の異動は公立の学校のように多くない。仕事相手も生徒だ。

 仕事も激務となると趣味を楽しむ時間すらない。

 休みの日はこうやってビールを飲んでゆっくりして、翌週の授業の準備をしていると休みが終わってしまう。

《あぁ、こんなイケメンの先生赴任してこないかな。いるわけないか……イケメンの教師なんて》

 結芽乃のイケメンの先生という言葉を聞いて、八神先生が頭のなかに浮かんできた。

 ど、どうして今彼が? たしかにイケメンだけど。
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