ニガテな副担任はこの頃距離が近すぎる
書類をめくっていると、うちのクラスの林(はやし)さんのところで手が止まった。
「すごい……びっしり」
思わず手を止めてしまうほどの文字量だ。ここまで細かく書いてあるものは初めてだ。その熱量に圧倒されてしまう。すごく熱心な保護者のようだ。
内容を確認すると彼女について、諸々と注意点が描かれている。
まだ担任になって数週間だが、おとなしいが生活態度も勉強面についても特に問題がないように思えたのだけれど今後注意をしないといけない。
新任のころはこういった書類もすみずみまで見ていたのに、最近はささっと目を通すだけになってしまっていた。
こういう毎年行うことほど初心に戻ってきちんとしなくてはいけないとわかっているけれどとにかく時間に追われていて正直それどころではない。
愚痴など言っている暇はない。私は集中して仕事を終わらせていった。
ある程度の仕事を終え、明日早出することにして切り上げた。
まだ残っている人に声をかけて職員室を出る。ほとんどの明かりが落ちた学校の中を歩くのは、最初は怖かったけれど今となっては、一分一秒でも早く帰りたいという気持ちしかない。
正門前にはあちこちに桜の花びらが落ちている。あっという間に葉桜になるだろう。桜の時季は本当にあっという間だと思いながら駅に向かった。
私と同じように疲れた人たちにまぎれて電車に揺られる。そう混雑していないのが救いだ。
ぼーっとしながら窓の外を眺める。しかしはたと食器用洗剤をきらしていることに気がついた。朝そのおかげでシンクの中に食器を放置してしまっている。
時計を確認すると、ドラッグストアはまだ開いている時間だ。他にも補充しておきたい日用品があるので、一駅手前で降りて買い物して帰ることにした。