アルト、将来の夢を語る【アルトレコード】
「相談があるって? なんだった?」
「アルトのことです。eスポーツの選手になりたいって言い出して……なんて答えていいか迷ってしまって」
「アルトが?」
北斗さんは面白そうに目を細める。
「そうか……将来の夢を語るくらいに成長したんだ。君、がんばったんだね」
思いがけないタイミングでほめられて、私は目を丸くした。と同時に顔に血が上って来る。
「いえ、そんな……」
「だけどAIがeスポーツの大会に参加することは禁止されているし、アルトにはあきらめてもらうしかないね」
「そうですね」
北斗さんの言葉に、私は落胆した。
彼ならいいアイディアをくれるかもと思ったのに、あっさり諦める方向になるとは。
北斗さんはときどき驚くほどドライだ。
確かに結論は決まっている。あとはどう伝えるか、なんだけど……。
「子どもなら夢はころころ変わるだろうから、適当に流すことも方法のひとつだけど。君はそうしたくないからここに来たんだよね」
「はい」
アルトがもっと小さい頃ならそうしたかもしれない。
だけど彼にはもう自我がある。適当なことを言って期待させたら将来もっと傷つくし、アルトに嘘をつくなと教育している以上は私も嘘をつきたくない。それに、なれないとわかっていて夢を応援するなんて無責任なことをしたくない。
「どう伝えたところでアルトは傷付くだろうね」
北斗さんの言葉に、思わず胸を押さえる。
「アルトのことです。eスポーツの選手になりたいって言い出して……なんて答えていいか迷ってしまって」
「アルトが?」
北斗さんは面白そうに目を細める。
「そうか……将来の夢を語るくらいに成長したんだ。君、がんばったんだね」
思いがけないタイミングでほめられて、私は目を丸くした。と同時に顔に血が上って来る。
「いえ、そんな……」
「だけどAIがeスポーツの大会に参加することは禁止されているし、アルトにはあきらめてもらうしかないね」
「そうですね」
北斗さんの言葉に、私は落胆した。
彼ならいいアイディアをくれるかもと思ったのに、あっさり諦める方向になるとは。
北斗さんはときどき驚くほどドライだ。
確かに結論は決まっている。あとはどう伝えるか、なんだけど……。
「子どもなら夢はころころ変わるだろうから、適当に流すことも方法のひとつだけど。君はそうしたくないからここに来たんだよね」
「はい」
アルトがもっと小さい頃ならそうしたかもしれない。
だけど彼にはもう自我がある。適当なことを言って期待させたら将来もっと傷つくし、アルトに嘘をつくなと教育している以上は私も嘘をつきたくない。それに、なれないとわかっていて夢を応援するなんて無責任なことをしたくない。
「どう伝えたところでアルトは傷付くだろうね」
北斗さんの言葉に、思わず胸を押さえる。