魔法文具屋で、“わたし改革”はじめます!



その目には、店内の商品はうつっていなようだった。





「どんな商品をお探しですか?」

「いや、どんな商品があるか知らないからさ」

「……。じゃあ、最近悩んでいることはありますか?」

「悩み……悩みねぇ…」





何かあるような口ぶりだ。
それはそうだ。ここに来るということは、“そういうこと”だ。





「可愛いって、ちゃんと言われてるうちは嬉しいし、いいんだけどさ……」





さっきまで威勢がよかったのに、急に、お姉さんの声がトーンダウンする。





「言われなくなったら、なんか……存在ごと消えちゃいそうっていうか」





それが、お姉さんの悩み。
“可愛い”という言葉で、自分の存在価値を保っているようだ。





「“可愛い”って言葉、お姉さんにとってすごく大事なことなんですね」

「……うん。努力してるし。メイクも髪も、全部自分で調べてやってるし」

「すごいですね……!ちゃんと自分で調べて努力してるなんて、なかなかできることじゃないです」

「……でも、それ以外のことって、自信ないんだよね」

 



きっと、お姉さんと同じ悩みをもつ人は今の世の中にいっぱいいる。
SNSって、すごく便利だけど、可愛い子ばっかり見てると「わたしって何なんだろう」って思っちゃう。
見た目がすべてみたいな世界で、ちょっとでも外れると、自分がいなくなっちゃう気がする。


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