魔法文具屋で、“わたし改革”はじめます!
「たこフェスの企画書、出したんだけどさ、先生に“それ本気?”って鼻で笑われて」
一瞬、たこオタくんの表情が曇る。
「正直、心が一瞬グシャッてつぶれそうになったッス。でも、あのノリが、目をそらすたびに、“まだやれる”って言ってくる気がして」
——「やりたいことを続ける気持ちには、ちょっとだけねばり強さをくれる」
あのとき渡した『ねばりのり』の説明が、胸の中でよみがえる。
「それで、放課後先生のとこに突撃して、“やりたい理由10個”を語ってきたんスよ。そしたら先生、笑って『お前ほんとにたこ焼き好きなんだな』って」
たこオタくんは、カバンから取り出した紙を私に見せた。
それは——文化祭のステージ企画書に貼られた「承認」のスタンプだった。
「たこ焼きフェス、通ったんス!! 屋台だけじゃなくて、ステージで“たこ焼きクイズ大会”とか“おいしさプレゼン”とかもやるんス!」
ここねは思わず、「すごい!」と手を叩いた。
たこオタくんの目は、たこ焼きのソースみたいにキラキラしている。
「たこ焼き好きな自分って、変だって思ってたけど、ずっと好きでいたら、なんか“武器”になった気がするんス」
「”武器“……ステキだね」
「はいっ。ねばって、よかった」
その言葉に、ここねは胸がじんわりとあたたかくなるのを感じた。
たこオタくんは、手を振って去っていく。
相変わらず台風みたいな人だけど、その背中は、ちょっとだけ大きくなったように見えた。
『好き』を貫くって、すごい力になるんだ。
あの子の“たこ焼き愛”が、誰かを笑顔にする日が、きっと来る。