転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
ユキリはヒロインが、楽しそうな笑顔を浮かべる姿が大好きだ。
だが、こうして傷つく彼女の姿を見ると、こんな姿もありなのではないかと思うのだから不思議だ。
(ごめんね、ティナ……! こんな酷いことを思ってて……! 今すぐ心を入れ替えて、あなたの役に立てるよう、尽力するから……!)
ここで肯定しようものなら、どんな方向へ話が進むかわからない。
ユキリは慌てて、もう一度否定の言葉を口にした。
「ご、誤解だよ!」
「じゃあ……。応援、してくれる……?」
すると、小照りと首を傾げたティナに問いかけられる。
ユキリはそのかわいさに心臓を撃ち抜かれ、どうにかなってしまいそうな気持ちに苛まれながら――自分に言い聞かせる。
(これは、罠だよ!)
ロンドはイベント中に「応援する」と言ったことを後悔し、後に殿下から強引に彼女を奪い取ろうと試みるのだ。
ここでそんな言葉を紡ごうものなら、この話を盗み聞きしているかもしれないマイセルまでもヤンデレに覚醒し――こちらに襲いかかってくる可能性があった。
(それだけは絶対に、避けなくちゃ……!)
ユキリは拳を握りしめると、決意を固める。