転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
(私が見たいのはロンティナ! 百合ルートじゃないんだから……!)

 ロンドの役割を奪っているこの状況は、異常事態と言っても過言ではない。
 ここで原作とまったく同じ台詞を口にして、ティナを同性である自分が攻略しようと試みてどうするのか。

(ティナの計画を知っているよって、遠回しに伝えなくちゃ……!)

 推しカップル成立のために尽力すると決めているユキリは、大きく息を吸い込みーーそして、勢いよく吐き出した。

「ティナには、ロンドくんがお似合いだよ!」
「え……? ロンドは、ただの幼馴染で……」
「ロンティナは大正義! お似合いだよ!」
「ロン……ロンドの、こと……?」
「あっ!」

 ティナの反応が思わしくないのに気づき、すぐさま自分が口を滑らせたと知る。はっと口元を抑え、顔を真っ赤にして狼狽えた。

「ご、ごめん! 今の言葉は、忘れて!」
「ユ、ユキリちゃん……?」

 困惑するティナを、構っている暇などない。

(これ以上一緒にいたら、墓穴を掘っちゃう……!)

 ユキリは全速力で屋上を出て階段を降りた。

「わたしの計画、バレてるのかな……」

 1人残されたティナがこちらの後ろ姿を目にして、不安そうな言葉を紡ぐ声に気づかぬまま……。
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