転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
「おい」
授業を終えたユキリが食堂へ向かおうとしたところ、ロンドから声をかけられた。
思わずそちらに視線を移せば、仁王立ちの彼がこちらを見下しているのに気づく。
(あれ……? ティナは……?)
いくらあたりを見渡しても、幼馴染の片割れが見つからない。
それに違和感を抱きながら、紡がれた言葉を耳にしたユキリは……。
「殿下から、聞いたんだけど」
教室に2人だけを残してあっと言う間に人がいなくなったこの状況を、不審がっていた。
(なんだか、嫌な予感……)
ユキリは引き攣った笑みを浮かべながら、ロンドの言葉を待った。
「あんた、俺のティナを泣かせたんだってな」
低い声で問いかけられ、すぐさま合点がいく。
自分がティナの敵だと勘違いしたロンドは、こちらに文句を言うために呼び止めたと気づいたからだ。
(終わった……)
こうなった彼を止める手段は、モブには存在しない。
(ユイガか殿下が、助けてくれないかなぁ……?)
あらぬ期待を胸に抱いたところで、その2人は別のクラスで授業を受けている。
ここに姿を見せるわけがないとガックリ項垂れたユキリは、こちらを睨みつけてくるロンドとたった1人で対決する羽目になった。