転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
「私が? 泣かせたわけじゃ……」
「ああん?」

 ロンドはティナを愛するあまり、正気を失っているようだ。

「言い逃れする気かよ」

 ユキリに凄む彼は、日本で暮らしていたら不良と真正面から戦って勝てそうなほど柄が悪い。

(ロンドとザルツなら、どっちが怖いかな……)

 思わず遠くを見つめて現実逃避をすれば、ロンドの眼光がより鋭くなった。
 心ここにあらずなこちらの様子が、相手の怒りに火をつけてしまったようだ。

「ボケっとすんじゃねぇよ」

 その姿を目にして、ユキリは全身を震え上がらせた。

「ひえぇっ!」

 ティナが泣きながら走り去ったのは、王太子が初恋の人だから。
 なのに――。

(私のせいに、しないでよ……!)

 なぜこちらに凄んでくるのか。
 悪いのはユキリではなく殿下だと告げたい気持ちでいっぱいになったが、それを伝えたところでロンドは納得してくれそうにない。

(仕方ないなぁ……)

 恋ラヴァ開始直後、幼馴染コンビの単独行動はかなりレアだ。
 彼はヒロインのそばに、ピッタリとくっついている時間の方が多いのだから。
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