転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
「彼女は僕の婚約者だ。神官には奪わせない」
「聖女の力を悪用されては、困りますので……」
「君達にも、同じことが言えるよね?」

 3人はバチバチと火花を散らし、真正面からぶつかった。
 誰もが一歩も譲らない展開に、ティナはオロオロと視線をさまよわせている。

「ふむ……。ここで長話をするのは、得策とは言えないようですね……」

 その様子を目にしたザルツはどうやら、関係のない人間まで巻き込んでいることを気にしているらしい。
 ちらりとティナとロンドを盗み見ると、聖母マリアのような微笑みを浮かべてマイセルに告げた。

「では本人が目覚めた際、希望を聞くことにいたします」
「何度来ても、同じだよ。君達とは、会話させないから」
「それでは、またお会いいたしましょう」
「二度と来るな」
「今度遭った時は、剣の錆にしてやる……!」

 いつも笑顔で人当たりのい王太子とは思えぬ険しい口調と声で怒りを露わにするユイガと協力し、ザルツと神官達を追い返す。
 こうして愛する人と自身を引き裂く者達の気配がなくなったことを感じ取り、ほっと一息ついた。

(よかった……)

 ひとまず危機は脱したが、まだ安全を確保したとは言い難い。
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