転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
(誰の手も及ばぬ場所に、ユキリを移動させないと)

 そう思い立ち、ユイガとともに行動を開始しようとすれば……。
 呆れた視線をこちらへ向ける、ロンドと目が合った。

「なぁ。こいつの件があるからって、有耶無耶にするなよ」
「わかってる」

 ロンドはティナとユキリが何者からか嫌がらせを受けている話を忘れるなと、釘を刺してきた。
 聖女の件でユキリの警備が強化された結果、手薄なティナに再び危害が加えられるのではと恐れているのだろう。

(あの子は僕の愛するユキリが、大好きだと公言している。酷い目に遭ったら、彼女は悲しむ……)

 マイセルは渋々彼に頷くと、口元を緩めて告げた。

「安心して。犯人は、僕が責任を持って罪を償わせるよ」

 その瞳には、隠しきれない憎悪の炎がゆらゆらと揺らめいている。

「殿下……?」
「行くぞ、ティナ」
「う、うん……」

 それを感じ取って、恐ろしくなったのだろう。
 驚愕するティナの肩を抱いたロンドは、彼女を伴いマイセルと別れた。

(ユキリ……)

 瞳を閉じて眠るユキリは、普段の騒がしさが嘘のように大人しい。

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