転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
 口を開かなければ人形のように整った顔達の彼女は、男子生徒達から羨望の眼差しを向けられてるなど気づきもせずーー明るく元気に振る舞う。

(君が今まで誰にも穢されることなく、ここまで生きてこられたのは……。僕と、ユイガのおかげなんだよ……)

 2人が目を光らせていなければ、あっと言う間に他の男に奪い取られてしまう危うさがあった。

(君は絶対に、僕が守るから)

 マイセルはユキリの薬指に歯を立てると、満足した様子で複雑な表情を浮かべる彼女の弟と視線を交わらせた。

「これからどうする」
「神官達にユキリを僕の婚約者だと説明してしまった以上、その嘘を本当にするべきだ」

 一度神殿へ連れて行かれてしまえば、彼女が自らの意思でそこから出ると強い決意を持って行動しない限り、助け出すのは王族ですらも困難だ。
 しかし――先に婚約を結んだと大っぴらに宣言すれば、恋愛学園は退学することになるが……。
 ユキリが神殿で暮らしたいと表明しない限り、今まで通りの穏やかな暮らしができるはずだ。

「その肩書きを、一刻も早く手に入れないと……。彼らにユキリを連れていかれても、僕は文句を言えない立場に追いやられてしまう」
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