転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
 恋ラヴァ本編にて恋愛学園を退学になったティナは、聖女として神殿で暮らすようになり――ロンドやマイセルの手が届かないところで一生を過ごす。

 ――ここで活きるのが、ザルツの神官設定だった。

 彼はライバルの攻略対象達がティナに近づけないのをいいことに、甘い言葉を囁いてちゃっかりと恋人の座に収まるのだ。

(ザルツを拒否したら、それはもう悲惨な目に……)

 神殿から追放されるだけなら、まだいい。
 神の神託に逆らう悪女と責め立てられた挙げ句、命を奪われる。

(あのルートだけは、ハードすぎるわ……!)

 ロンティナを愛するユキリにとって、聖女ルートは思い出したくもない黒歴史だった。

(どうにか、神殿で暮らさずに済む方法はないかしら……?)

 唇を固く引き結んだユキリが恋ラヴァでは描かれていなかった抜け穴を探すため、試行錯誤を繰り返していると――マイセルの口から、思わぬ単語が紡がれた。

「僕もユイガと、これからのことを話し合って……。ある決断をしたんだ」
「弟、と……?」
「そうだよ。彼もユキリの同意さえ得られたら文句は言わないと、こちらの提案を受け入れてくれた」
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