転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
「ユキリちゃん、大丈夫……?」

 そんなこちらの様子を目にして声をかけてくれたのは、こうした経験が一切ないはずのティナで……。

「ティナはどうしてそんなに、ダンスが完璧なの……?」
「そ、そんなことないよ……!」

 謙遜している彼女も大変可愛らしいが、問題はそこではない。

(中の人は、音ゲー廃人……?)

 恋ラヴァの本編でダンスシーンは、音楽に合わせてボタンを押すリズムゲームになっていた。
 そのため、あらぬ疑いをかけてしまったのだが……。

(そんなわけ、ないよね。どこからどう見ても、ティナは原作通りの性格をしているもん。中の人なんて、いるわけがない……)

 ユキリは脳裏に思い浮かんだ願望を否定すると、頭の中で先程習ったばかりのステップを何度も繰り返した。

「ランカさん! 素晴らしいですね!」
「当然ですわ~!」

 さすがは公爵令嬢だ。
 ランカが講師からダンスの腕を褒められて、賞賛を受ける姿を横目に見ながら――ユキリは何度目かわからぬ、ため息を溢した。

「本日の授業はここまで!」
「ありがとうございました!」

 生徒達が一斉に講師へお礼を告げると、授業は終わりを告げる。
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