転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
「ユキリ」
「でん、か……?」

 ーーいつの間にか姿を見せた殿下が不機嫌そうに、こちらを観察しているのに気づく。

「あ。やっと気づいた」

 マイセルは先程までの表情が嘘のような笑顔を浮かべると、ひらひらと右手を振る。
 ぼんやりと彼の姿を見つめていたユキリはようやく我に返り、あたりを見渡す。

「あれ……? ロンティナと、ユイガは……?」

 しかしーー教室には、マイセルとユキリの姿しか見当たらなかった。

「2人は帰ったよ。ユイガは、廊下で待っていてもらっている」
「どうして……? こっちに、来ればいいのに……」
「僕がユキリと2人きりで、過ごしたかったからかな」
「え……っと……」

 面と向かっていわれるとなんだか気恥ずかしくて、戸惑ってしまう。
 そんなこちらの姿を目にしたマイセルは、明るい声で苦言を呈する。

「不用心だなぁ。気をつけてって、言ったよね」

 口元こそ緩めているが、目は笑っていない。
 彼の姿を目にした瞬間、ユキリは気落ちした様子で肩の力を抜き、ポツリと反省の言葉を述べた。
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