転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
「殿下?」
どうしてなのかと不思議に思えば、壁を背にしてつまらなさそうにダンスフロアで踊る姉達の様子を観察していたユイガは、司会進行役の生徒からマイクを奪い取る。
そして、誰がどう来ても不機嫌そうな声を響かせた。
「――王太子から、ここにいる全員へ報告がある。全員、心して聞くように」
弟は苛立ちを隠しきれない様子で、殿下に向かってマイクを投げる。
それを危なげもなく掴んだ彼は、それを握りしめるとこの場に集まっている人々へ声高らかに宣言した。
「僕はこの恋愛学園で、最高のパートナーに巡り会えた」
たった3か月しか恋愛学園に通学していないのに――もう生涯ともに居たい生徒を見つけたのかと、生徒達がざわつく中で。
「ユキリとの婚約を――」
「きゃあああ!」
マイセルがユキリとの婚約者を発表する声は、最後まで言葉にならなかった。
甲高い女子生徒の悲鳴が、聞こえてきたからだ。
(な、何……?)
2人は、ほぼ同時に振り返る。
そこには床に倒れ伏すティナへ駆け寄ろうとした所を、ザルツに羽交い締めされたロンドの姿があった。
「ティナ!」
「危険です! 感染症かもしれません!」
「何言ってんだ! あいつは果実酒を飲んで、倒れたんだぞ!?」
「感染症ですって!?」
「に、逃げろ……!」
どうしてなのかと不思議に思えば、壁を背にしてつまらなさそうにダンスフロアで踊る姉達の様子を観察していたユイガは、司会進行役の生徒からマイクを奪い取る。
そして、誰がどう来ても不機嫌そうな声を響かせた。
「――王太子から、ここにいる全員へ報告がある。全員、心して聞くように」
弟は苛立ちを隠しきれない様子で、殿下に向かってマイクを投げる。
それを危なげもなく掴んだ彼は、それを握りしめるとこの場に集まっている人々へ声高らかに宣言した。
「僕はこの恋愛学園で、最高のパートナーに巡り会えた」
たった3か月しか恋愛学園に通学していないのに――もう生涯ともに居たい生徒を見つけたのかと、生徒達がざわつく中で。
「ユキリとの婚約を――」
「きゃあああ!」
マイセルがユキリとの婚約者を発表する声は、最後まで言葉にならなかった。
甲高い女子生徒の悲鳴が、聞こえてきたからだ。
(な、何……?)
2人は、ほぼ同時に振り返る。
そこには床に倒れ伏すティナへ駆け寄ろうとした所を、ザルツに羽交い締めされたロンドの姿があった。
「ティナ!」
「危険です! 感染症かもしれません!」
「何言ってんだ! あいつは果実酒を飲んで、倒れたんだぞ!?」
「感染症ですって!?」
「に、逃げろ……!」