転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
「口の堅い知り合いと、出会えますように……!」
「ラクア男爵令嬢?」

 ――その願いは思った以上に早く、天へ通じたようだ。

 聞き覚えのある声で囁かれた家名を耳にして顔を上げた瞬間、そこには訝しげな視線を向けるティナとロンドの姿があった。

「あんた、なんで……」
「えへへ……。脱走してきちゃった……」

 驚くロンドに苦笑いで答えたユキリの姿を目にしたティナは、幼馴染と顔を見合わせ状況を理解したようだ。
 すぐさまこちらの意図を悟り、ティナが動く。
 校舎に向かって走り出そうとしたのだ。

「わたし、殿下とユイガくんを呼びに行ってくる!」
「待てよ。こいつと俺を、2人きりにすんな」
「でも……。わたしじゃ、ユキリちゃんを守れないよ……」
「学園内なら、安全だろ」
「そうかな……?」

 どうやらロンドは、ユキリと2人きりにはなりたくないようだ。

(そりゃそうか)

 彼はティナを愛しているのだから、いくら緊急事態だとしても異性と2人きりになるのは避けたいのだろう。

(はぁ……。今日も、ロンティナが尊い……)

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