転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
「で、殿下……。一体、何を……」
「ユキリが僕の物だって証だよ。薄れるたびに、何度でも刻み込んであげる」

 ヒリヒリと痛むそこを撫でながら、薄暗い瞳で微笑む彼と目があった。

(あれ……? こんなエピソード、どこかで見たような……?)

 ユキリの脳内には、前世でプレイした乙女ゲームのスチルが再生される。
 恋ラヴァでティナに対して、マイセルはたしかにこれと似たようなことをしていたはずだ。
 あの時は、足の親指に噛みついていたがーー。

(ヤンデレ度がアップしているのは、私のせいだもん……。仕方ないよね……)

 結婚指輪を嵌める薬指に噛みついてきたあたり、もう二度と手放す気はないと遠回しに言われているようで戦慄した。

(好きになる相手……間違えたかな……?)

 王太子として生まれたマイセルは、そう遠くない未来に国の頂点に君臨する国王となるだろう。

 将来を約束された超優良物件なのに冷や汗が止まらないのは、やはりユキリが彼を激怒させているからだろうか。
 それとも、その奥に隠された狂気が見え隠れしているからかーー。
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