転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
「僕の所に戻ってきてくれて、本当にありがとう」
「ど、どういたしまして……」
「神殿の奴らを無効化したら、すぐにお揃いの指輪をここに嵌めようね」
「う、うん……」

 ユキリが戦々恐々とした様子を隠しきれずに何度も頷くからだろう。

「ずっと一緒だよ。そう。永遠に、ね……」

 普段の明るい笑顔はどこへやら。
 仄暗く瞳孔の開いた瞳で恐ろしい声音で言葉を紡ぐマイセルは、誰がどう見ても関わってはいけない人間としか思えなかった。

(たとえどれほど、彼が私に向ける愛が歪んでいたとしても……。その気持ちは誰よりも重くて……。私を大切にしたいと思っているからこそだと思うから……)

 元はと言えば、彼がこのような恐ろしい執着心を表に出しているのは自分のせいだ。
 ここで引いたら、彼の外見だけを好きになったと言うことにもなりかねない。

(私は嫉妬深くて、心配性で、誰にも奪われないようにと監禁を目論む殿下が、大切だから……)

 ユキリは彼の気持ちを真正面から受け止めると決め、薬指の歯型をなぞる殿下の指先に自ら手を絡めた。
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