転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
水色の瞳と目を合わせ、その奥に隠された感情を読み取り――思わず苦笑いを浮かべる。
「ユキリも聖女だって、認めたくはないの?」
「あ、当たり前だよ!」
恋ラヴァでヒロインが歩んだ未来を知っているからこそ、彼の問いかけに即答してしまう。
(ん? これ、否定してよかったんだっけ……?)
先程言い放った言葉がこの場に不釣り合いだったのではと反省したユキリは、ダラダラと額から汗を流して焦りの色を滲ませる。
「一つだけ、方法があるんだ」
だが――マイセルはその隙を逃さず、
満面の笑みを浮かべてある提案をした。
(この台詞って……)
その言葉には、心当たりがある。
癒やしの力が覚醒した直後、ザルツ以外の好感度が高い攻略対象のルートへ分岐できる、最後の選択肢だ。
ハッピーエンドのフラグと言い換えてもいい。
このあとに続くのはーー。
「僕の妻になれば、神殿だって簡単には手を出せない」
――プロポーズの言葉だった。
(ほら、やっぱり……!)
この選択肢に頷いた場合、ティナは告白を受けた攻略対象とともに、神殿に囚われぬようにバトルを繰り広げる。