転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って！

　ユキリの野望は恋ラヴァのヒロインと、幼馴染のロンドをくっつけることだ。
　この2人のカップリングが成立すれば、マイセルは自動的に失恋する。

(そのあと殿下が、私を好きになったら……。どんな選択をするんだろう？)

　7年後の自分のなど、想像もつかない。その時に考えればいいかと結論づけると、ユイガを安心させるようにユキリは口元を優しく綻ばせた。

「俺は反対だ。恋愛学園なんて……危険すぎる……」
「でも……。生涯のパートナーに出会えていない人は、入学が義務づけられているんだよ？」
「たとえ、そうだとしても！　ユキリの運命の相手は、俺だろ!?　あんなところ、通う必要なんかない……！」

　姉に対する気持ちを恋愛感情だと勘違いしているユイガは、ユキリは絶対誰にも渡さないと牙を向く。
　そんな彼の姿に呆れながらも、優しく諭す。

「今は私とずっと一緒だから、そう思うかもしれないけど……。ユイガだって、殿下が好きになる女の子を……」
「あり得ない……！　俺が好きなのは、ユキリだけだ……！」
「もう。困った弟くんだなぁ……」

　だが、こちらがどれほど説明したところで弟の反応は思わしくない。
　姉は困ったように目元を緩めた。