転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
「あれは王立騎士団の奴らが悪い。真剣で襲ってくるなんて、どうかしている。俺達はまだ、子どもだぞ」

 2人の主張が正しければ、にわかに信じがたい話ではあるが……。
 ユキリは彼らが自分の気を引くために、嘘をつくような人間ではないと知っている。
 だからこそ、疑うことなくその事実を受け入れた。

「だからこんなにたくさん、汗を流していたんだ……」
「くそ……。こんな情けない姿を、姉さんに見せたくなかったのに……」
「奇遇だね。僕も同じ気持ちだよ」
「貴様とお揃いなんて、冗談じゃない!」

 ユイガは苛立ちを隠せない様子でそう吐き捨てると、踵を返して歩き出す。

「ユイガ? どこ行くの?」
「訓練はもう、終わりだ。頭を冷やしてくる」
「なら、殿下と一緒に……」
「3分で戻る! マイセル! 姉さんに手を出したら、ただじゃおかないからな!」

 溺愛している姉の呼び止める声にそう返した弟は、身体に纏わりつく汗を流すためにこの場から走り去った。

「一緒に敵を退けて、少しだけ距離が縮まったみたいだ」
「よかったね……?」
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