転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
(殿下って確か、怒らせたらまずいタイプの人だよね……?)
マイセルルートをプレイしたのは、恋ラヴァを始めてすぐのことだ。
その内容は朧気ではあるものの、印象に残っている要素が一つだけあった。
それは……。
――彼がティナを好きになった瞬間に異常なまでの執着心を露わにし、他の攻略対象達と2人きりになるのを阻もうとあれこれ画策してくる姿だ。
(こいつのせいでロンドを攻略できなかったんだと思うと、なんだかムカムカしてきた……!)
作中の殿下はロンドが幼馴染以上になろうと必死に努力している姿を横目に、華麗に彼女を奪い取ってしまう。
ロンティナ推しにとって彼は、推しカップルを引き裂く悪魔のような男だった。
(そもそも、恋愛学園への入学条件って、一度もお付き合いをしたことのない男女に限るはずだよね……?)
ここで婚約を了承したら、マイセルが恋愛学園に入学できなくなってしまう。
(ロンティナの成立は、恋の障害が必要不可欠なのに……!)
ティナにとってロンドは、大切な幼馴染。
それ以上でもそれ以下でもないところからゲームはスタートする。
彼女を狙う当て馬達の登場によって、ロンドはようやくやる気をみせるのだ。