アルトと歩む未来【アルトレコード】
「久しぶりのネクタイに手間取ってさ。待たせて悪かったね」
 北斗さんはそう言って私の隣にさっと乗る。

「あ……」
「え……!」
「ああ!?」
「……くくっ」
 アルトたちは驚いたり絶句したり、ムッとしたり、苦笑をもらしたり。

 その様子に北斗さんはきょとんとしてアルトたちを見回す。彼らの無言の圧に、北斗さんはたじろいだ。

「なに? なにか駄目だった?」
「ぼくが先生の隣に座りたかったのにー!」
 アルトは大げさにぷーっと頬を膨らませ、私の正面に座る。その拍子に三つ編みが揺れた。

「ははっ、北斗にはかなわないな!」
 オレンジのネクタイをいじって、笑いながらアルトがその隣に座った。

「お、俺は別になにも……」
 頬を赤く染めながら、さらにその隣にアルトが座った。

「北斗、昨夜発表された論文は見たか?」
 アルトが知的好奇心に目を輝かせながら北斗の隣に座り、ドアを閉めた。

「はは、みんなあいかわらず元気そうだな」
 端末の中で、ベガさんが笑う。
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