花嵐―はなあらし―

ベッドに寝転がるわたしの傍らで、プシュッと音を立て、缶ビールを開けて飲み始める十和と修ちゃん。

「修一は、どっち派なの?」
「俺もケツ派だよ。」
「だよなぁ〜。あのタイトなスカートとか穿いてるピチッとした感じが良いんだよ。」
「わかる、見ちゃうよね。」

そんな二人の会話を聞き、わたしは横向きになると「何、おっさんみたいな会話してんの?」と茶々を入れた。

わたしの言葉に「男にしか分からないよな〜。」と言う十和に「そうだろうね。」と共感する修ちゃん。

でも、二人がケツ派で良かった。

貧乳のわたしは、どちらかといえばお尻は安産型だから!
って、十和と修ちゃんがケツ派なところで、わたしは何を安心して喜んでいるんだろう。

恋って、恋愛って、やっぱり難しい。

わたしはどうしても、相手色に染まってしまう癖があるからダメなんだよね。

自分というものをしっかり持たないとダメだよね。

だから、いつも相手のペースに合わせて、頑張り過ぎて疲れて、いつの間にか裏切られている。

きっと合わせ過ぎて、わたしはつまらない女になっているんだ。

でも、つまらなくない女って何?

って、こんな事考えてる時点でわたしはつまらない女になってる。

そんな事を考えながら、わたしは"ケツ派"について語り合っている十和と修ちゃんを見つめていた。

もし十和か、修ちゃんが恋人だったら、、、

わたしは自分らしく居られるのになぁ、、、

自分らしく、、、
そっか、自分らしく一緒に居られる相手を見つければいいんだ。

でも、それってどうやって見つければいいの?

あぁー、もうよく分かんなくなってきた!

「ああああああああー!!!」

わたしが突然ベッドから起き上がり、頭を抱えながら叫ぶと、同時に驚きながら十和と修ちゃんがわたしの方を見た。

「な、何だよ、突然!ビックリしたなぁ!」

ビールを片手に驚いている十和。

一方、わたしが突然叫ぶ事に慣れている修ちゃんは、驚きは一瞬で終わり「また色々考え過ぎて、頭ん中グチャグチャになったんでしょ?」と冷静に言って、ビールを飲んでいた。

「修ちゃん、よくご存知で、、、」

わたしはそう言いながら、ベッドに寄りかかる修ちゃんの肩に項垂れた。

「涼花は、昔から考え過ぎるとこあるからなぁ。」
「そうそう、心のままに行動すればいいのに。」

十和と修ちゃんはそう言うが、わたしにはそれが難しいのだ。

「わたしが心のままに行動するのは、それはそれで危なくない?」

わたしがそう問うと、十和と修ちゃんは同時に「確かに。」と納得していた。

もう!じゃあ、わたしはどうすればいいのー!

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