響け！月夜のアジタート

幕も開けずに始まる

素晴らしい歌を聴いたことで、レオンハルトは興奮からなかなか寝付くことができなかった。深夜二時を過ぎてようやく眠ることができた。

午前六時。レオンハルトはベッドから出てシャワールームへと向かう。シャワーを浴びて着替えと身支度を整えた後、レオンハルトは部屋を出た。朝食を食べにいくためである。アントーニョたちとはレストラン前で待ち合わせをしている。

「みんな、おはよう。よく眠れたかな？」

レオンハルトがレストラン前に行くと、マーガレット以外は全員揃っていた。レオンハルトが声をかけると、全員が「おはよう」「おはようございます」と返す。

「ベッドがふかふかで二度寝をするところだったよ」

そう笑ったオルハンに対し、アントーニョが「二度寝して寝坊すればよかったのにな」とハッと小馬鹿にしたように笑いながら言う。オルハンの額に青筋が浮かんだ。カナタが口を開く。

「お腹空きましたね。マーガレットさん、まだでしょうか？」

「女性は身支度に時間がかかってしまうんだ。もう少し待っていよう」