あなたを紹介できない理由 ―この恋は、規則違反です―
「成婚に繋がらない方って、どこか理想を高く持っていて、しかもそれを諦めないんですよ。」

東条さんはそう言って、パソコンから目を離し、私にしっかりと向き合ってくれた。

その視線がまっすぐで、少しだけ胸がざわついた。

「最初は理想があって当然です。でも、お見合いを重ねていくうちに、“こういう人が自分に合うんだ”と気づいていく。うちは、そうやって現実に合わせていけるよう、段階的なマッチングプログラムを組んでるんですよ。」

なるほど、と思った。

確かに、私もこれまで“理想”という言葉に縛られていたのかもしれない。

でも今は――


「東条さんの言うこと、なんだか信じられる気がします。」

そう言った自分に驚く。

まだ出会ったばかりのはずなのに。

なのに、彼の言葉にはちゃんと重みがあって、誠実さがあった。

信頼できる。

そう感じたのは、彼の優しい表情と、私の目をまっすぐ見るその瞳のせいだと思った。

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