オリーヴィア様は薔薇が好き。
「それから今度、新しくできた劇場でオペラが上演されるそうなのですが、よろしければ僕と一緒に観に行きませんか?」
なんと!オリーヴィア様のことを考えていたら、いつの間にかレイノルド様との距離がとても近くなっておりました。
そしてなぜかオペラに誘われている私です。
むむ、オペラ!
「素敵ですね!私、オペラは大好きなのです。壮大な神話も、思わず笑ってしまいそうになる喜劇も、庶民の愛憎を描いた現実主義のストーリーも、どれも面白いですわ」
「僕は喜劇が好きですね。悲しいのは苦手なんです。神話は悲恋が多いし、庶民向けは品がありません。今度の演目は、我が国の妖精伝説をもとにした物語のようですよ。“騎士と水の乙女”というタイトルでした」
「まあ!新しいですわね!是非、観に行きたいです」
「では三日後の夜、お迎えに上がります」
「はい、楽しみにしておりますわ」
……あら?
つい大好きなオペラにつられてお誘いを受けてしまったけれど、大丈夫よね?
ああでも、結婚のお話とかされたらなんと答えればいいのでしょう……。
考えておりません?まだ無理?取り敢えず婚約だけでも?……ううっ、早まったかもしれません。
「ハァ……気分が悪いわ」
ポツリとこぼれた小さな呟きが聞こえました。
オリーヴィア様です。
これは、かなりご機嫌斜めな時のお声では……!
「ごめんなさい。少し疲れたみたいですの。今宵はもう、自室で休ませていただきますわ。行くわよ、ロザリー」
「はい」