家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
一曲踊り終えると、誰かが私の肩を軽く叩いた。

「はい。」

にこやかに振り向くと、そこにいたのは――ルシアだった。

「ルシア。あなたもこの舞踏会に誘われていたのね。」

久しぶりの妹との再会に、胸が少し高鳴った。

けれど、それも束の間。

「しばらく会わないうちに、派手になりましたね。お姉様。」

その声には、どこか皮肉めいた響きがあった。

笑顔の裏に隠された感情が、はっきりと伝わってくる。

そうだった。

彼女は私がグレイバーン伯爵家に嫁ぎ、貧しい暮らしになることを望んでいた。

私の幸せを、内心では疎ましく思っていたのだろう。

「ありがとう。あなたも相変わらずお綺麗ね。」

私は穏やかに返したが、胸の奥が少しだけ痛んだ。
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