家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「ところで、先ほどの男性は?」ルシアが目を細めて尋ねてきた。

「――ああ……」

私はちらりと、踊り終えたノア・バルモントの背中に視線を送った。

「セドリックの旧友よ。ノア・バルモント伯爵。」

「伯爵?」

ルシアはその響きに少し驚いたように声を上げたかと思うと、すぐにケラケラと笑い出した。

「いやだわ、お姉様。伯爵夫人になると、踊る相手も伯爵になるのね。」

その言葉には皮肉と嫉妬が混ざっていた。

昔の私なら、きっと傷ついたかもしれない。

けれど今は、気にしない。

私は胸を張って、微笑みを返すだけだった。

「私が誰と踊っても、あなたには関係ないでしょう?」

「そうね。私には関係ないわ。だって私は公爵令嬢だもの。」

ルシアは髪をサラリと揺らした。
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