家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「それに、その粗末なドレス。お金しか持っていないのに、もっといいドレスはなかったの?」

ルシアは口元を隠しながら、わざとらしく笑った。

「これでもいいドレスを着てきたわ。」

私は静かに返した。だが、ルシアは鼻で笑う。

「センスがないのね。やっぱり伯爵夫人だわ。」

チャールズと腕を組みながら、彼女は優雅に舞踏の輪へと消えていった。

その背中を見送っていると、リリアンがそっと寄ってきた。

「クラリス。」

彼女の声は沈んでいた。

「妹さん……噂は本当なのね。」

「噂?」

聞き返すと、リリアンは困ったように眉をひそめた。

「お金を持ってそうな男性に、片っ端から声を掛けてるんですって。お金目当てだって、貴族たちの間で囁かれてるの。」

私は思わず言葉を失った。

あのルシアが……?

そんな妹の姿を、心のどこかで否定したい自分と、うなずいてしまいそうな自分がいた。
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