家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「セドリックは舞踏会へ行ったことがある?」

夕食の席で、ふと思い出して尋ねた。彼は少し考えてから答えた。

「数回ね。若い頃に何度か。」

「ダンスの相手って、どうやって決めるの?」

私の問いに、セドリックは一瞬黙り、じっと私の目を見つめた。

「もしかして……誰も君と踊ってくれなかったのか?」

「そんなことないわ。あなたのご友人の、バルモント伯爵が踊ってくれたわ。でも、その人だけ。」

思い出すと、胸の奥が少しだけ痛んだ。セドリックは黙って俯いた。

「確か、君の友人は……公爵夫人だったね?」

「ええ。エミリアも、リリアンも。」

「……そうか。」

セドリックは苦笑して、そっと手を私の手に重ねた。

「気にするな。公爵どもは、目が悪いんだよ。」

その言葉に、思わず私は吹き出した。そして少しだけ、心が軽くなった気がした。







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