家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
そして月をまたいで、舞踏会の招待状が届いた。

差出人の名を見て、私は一瞬まばたきをした。――ルシア。妹からの招待など、初めてだった。

「それとも伯爵夫人は、この場所に相応しくないかしら?」

そう添えられた言葉に、にじむような嘲笑が込められていた。

まるで、また私を侮辱する気満々だと読み取れた。

「いいえ。楽しみにしているわ。」

そう筆を走らせ、返事を出した。

そして舞踏会の夜。

街の広場を抜け、ゆっくりと舞踏会の会場前に馬車が停まる。

扉が開くと、そこから現れたのは、気品に満ちた装いの私――クラリスだった。

地味な装飾の馬車とは対照的に、身に纏ったドレスは真紅に輝くシルクに金糸が織り込まれ、肩には煌びやかな宝石が光るストールがかかっていた。

髪にはティアラ、耳元には揺れるルビーの耳飾り。

「……まるで、皇太子妃かしら。」

誰かがそう囁いたのが聞こえた。

伯爵夫人でも、美しく輝いていい。――私はそう胸を張って、会場へと足を踏み入れた。
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