家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
中に入ると、あの楽しかった舞踏会の記憶が一気に蘇った。

広々としたホールには華やかなシャンデリアがきらめき、人々の笑い声がこだましている。

おしゃべりを楽しむ貴婦人たち、隅の方でこっそりと噂話に華を咲かせる若い令嬢たち、そしてダンスフロアでは音楽に身を任せ、楽しげに踊る人々――それぞれが、この夜を思い思いに楽しんでいた。

私はセドリックと腕を組んだまま、静かに歩みを進める。

だが、どうにも気になることが一つあった。

――視線。

そう、女性たちの目線だ。

しかも、ことごとく私の隣にいるセドリックへと向けられている。

美丈夫で、伯爵位を持ち、今や街の発展を担う存在。

噂では政略結婚とは言われていたが、その顔立ちと堂々たる雰囲気に、未婚の令嬢たちはもちろん、人妻たちでさえも、魅了されているのだろう。
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