家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「クラリス、あの方知り合い?」

セドリックが私の視線の先に気づいて、そっと尋ねてきた。

「ええ。あの方はデュラン公爵夫人。私が幼い頃から、母と親しくしてくださったの。」

「デュラン公爵夫人?」

その名を聞いたセドリックは、目を見開き、すぐに私の耳元へ顔を寄せた。

「……君、まさかエレオノーラ・デュランと親しいのか?」

低く抑えた声に、彼が本気で驚いているのがわかった。

「ええ。でも今は、挨拶を控えたの。私が話しかけて、夫人の評判に傷がついたら申し訳ないわ。」

セドリックは一瞬黙り、そして私の手を強く握った。

「……そういう気遣いをするから、君は誰よりも美しい。」

私は彼の言葉に、胸の奥が熱くなるのを感じた。
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