家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「だが困った。」

セドリックがふいにそう呟いた。

「どうしたの?」私は小声で尋ねる。

するとセドリックは、また私の耳元に顔を寄せてささやいた。

「……父を伯爵に推薦したのは、実は彼女なんだ。デュラン公爵夫人のおかげで、グレイバーン家は伯爵家に列せられた。今の立場は、ある意味彼女のおかげなんだ。」

「まあ……」

私は思わず息をのんだ。

そんな大きな恩義があったなんて。

「挨拶はしたい。けれど、伯爵家の身分でこちらから近づくのは失礼になるかもしれない。どう礼を尽くせばいいのか……」

真面目なセドリックらしい悩み方だった。

すると、私たちの様子に気づいたエミリアが、軽やかな足取りで近づいてきた。

「どうしたの?二人して真剣な顔をして。」
< 114 / 300 >

この作品をシェア

pagetop