家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
さすがにエミリアでも、すぐには話しかけられないようだった。

そこにエミリアの夫、ロズウェル公爵が静かに歩み寄った。

彼は妻の動きに気づいていたのだろう。

周囲の貴族たちにうまく話をつなげ、デュラン夫人に少しの空間をつくってくれた。

ようやくエミリアは夫人のそばへ進み、柔らかな笑みを浮かべて声をかけた。

その様子を少し離れた場所から見ていた私は、自然と胸が高鳴っていた。

まるで運命の扉が、ゆっくりと開かれていくような気がして。

エミリアの話を聞いたデュラン夫人と目が合った。

すると彼女はにこやかに微笑み、周囲の人々との会話を一時中断して、私たちの方へと優雅に歩み寄ってきた。

会場の空気がわずかに変わるのを感じる。
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