家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「あなたのお父様は、大変誠実で、礼節を弁えたお方でした。私は、そのお人柄にふさわしい地位を得ていただくため、ほんの少し手助けをしただけなのよ。」

その口調には謙遜と、どこか懐かしむような温かさが込められていた。

彼女の優美な立ち振る舞いに、まわりの貴族たちも静まり返り、自然と敬意を払っていた。

「セドリック。あなたの代になって、この地域の治安がさらによくなったと聞いています。大したものだわ。」

その言葉に、セドリックは目を伏せて、こみ上げる感情を抑えきれずにいた。

「恐縮です。父の遺志を継いだだけです……でも、そう言っていただけるのは、何よりの励みになります。」

涙を浮かべながらも、まっすぐに頭を下げるその姿に、デュラン夫人は深く頷いた。
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