家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「ルシア。探したよ。」

その一言に、ルシアの肩がピクリと震えた。まるで寒気でも感じたかのように、彼女はゆっくりと振り返る。

「……私がどこにいるのか、探したのですか?」

声は冷たく、笑みすらない。

だがアルバート王子は気にも留めず、朗らかに頷いた。

「当たり前だろ。君は僕の婚約者だぞ。」

もし彼が誰もが見惚れるような王子であれば、絵になる言葉だったかもしれない。

だが、不釣り合いなその言葉が、どこか空虚に響く。

ルシアは視線をそらし、小さくため息をついた。

「まだ、婚約を受け入れるとはお返事していません。」

その返答にも、アルバートは気にする様子もない。

むしろ当然のように言い放った。

「でも、もう決まったも同然だ。父上と公爵閣下の間で話はついている。」
< 127 / 300 >

この作品をシェア

pagetop