家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
ルシアの顔がみるみる青ざめていくのが、遠目にもはっきりと分かった。

これが――彼女が望んだ結婚の相手なのか。

かつて私を嘲り笑っていたあの妹でも、これはさすがに気の毒だと、心のどこかで思ってしまう。

「ルシア、僕は君に夢中だ。」

そう言ってアルバート王子は、誰もが見ている前でルシアの肩を引き寄せ、抱きしめた。

「きゃ……!」

ルシアの顔から血の気が引く。

体をこわばらせ、まるで毒蛇にでも巻きつかれたかのような表情だった。

周囲もその様子にざわめき、誰もが視線を交わし合っていた。

「私は……少し、失礼します。」

ルシアはかろうじて微笑みを浮かべながら、アルバート王子の腕をそっと振りほどいた。

その仕草は丁寧でありながら、明らかに拒絶の意志を込めたものだった。
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