家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「私があの手紙を受け入れていたら、お兄様と結婚していたのは私よ。」

声には勝ち誇った響きがあった。ドア越しでもわかる。

ルシアが、セドリックに迫っていることが。

私は胸を押さえた。苦しくてたまらなかった。

まさか、そんな過去があったなんて——。

けれど、セドリックの声が静かに響いた。

「だが、君はそれをいとも軽くあしらった。まるで虫けらを扱うみたいに。」

セドリックの言葉は冷たく、重く響いた。

「は?なにそれ。」

ルシアが笑い飛ばそうとしたが、セドリックは続けた。

「断りの返事には、こう書かれていた。“なぜ公爵令嬢の私が伯爵を相手にすると思ったの?”。そこには誠意のかけらもなかった。」

私は扉の外でじっと立ち尽くしていた。信じたくない。でも、それがルシアの本心だったのだ。
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